| 幸 齢 ネ ッ ト |

この本はタイトル通り、人間は肉体的に75歳までは現役でいられる、ということを著わした啓蒙的な本です。 ![]() 東京都内にある高齢者専門の総合病院、浴風会病院に勤める精神科の医師で、この本の執筆当時は30代の医師です。 著者は、現在の超高齢社会の日本において、何よりも日本人の長寿化が喜ばれるよりも、日本の将来に対する悲観的な展望ばかりが語られる現状に深い疑問を持っています。 私の見るところ、おそらくこのことがこの本を執筆された動機だろうと思います。 いささか先走りますが、著者がこの本において最も語りたかったのは、正にこれからの日本の展望なのですが、私は著者の主張が厚生省資料などを提示されたときに十分反論できるかどうかまだ不明であり、この点においては部分的に若干説明不足の憾があるように思います。 けれども、そのことを上回って「75歳までは現役として働けますよ!」という主張は十分に我々を納得させるように著わしている本だと考えます。 ![]() 統計的には、1800万人以上の老年人口に対して要介護老人、虚弱老人と呼ばれる人の数は12−13%という程度であり、残りの人は何の支援がなくても自活できる人だと主張しています。 そして「要するに高齢者が増えた増えたと騒ぐ前に高齢者の定義を変えなければならないだろう。」と指摘しています。 私も、昔の60代と今の60代では明らかに違う、という著者の意見に与したいと思っています。何といっても、一昔前に比べてみて、「定年」というものが大きく変わり、かつその変化が社会に受け入れられてきているのは高齢者の体力的条件が変わってきているからでしょう。 こうした意味でも「本書のテーマは、まず、医学的に見て何歳から年寄りと呼ぶべきなのか再考することにある。」(以上「***」と引用してきたのは全て「はじめに」より)としていますが、この本はこうした変化を理論的に説明してくれています。 しかも、この上で本文でも「本書の目的はこのような元気な高齢者がどのような形で社会に参加するのがベストなのか模索するところにある。」としており、高齢者の社会参加を今まで考えながらデジタル・コミユニケーションに関わってきた私としては頼もしい本だと思っているところです。 この本の構成に少し触れましょう。 この本は全体を4章に分け、 第1章を著者の経験と各種の医学論文を通じて75歳までの脳と体がどのレベルにあるか論じます。 第2章では、精神科医の立場から、ヤング・オールドと呼ばれる人たちの現状とこころの問題点を論じます。 第3章では、「75歳現役社会」と題して高齢者にとっての雇用形態等、高齢者の社会でのあるべき姿について論じます。 第4章では、「超高齢社会の『新』ビジョン」と題して高齢社会の福祉や医療について論じています。 全体的に言えば、著者の考えは医療や福祉の問題を論ずるにも幅広いところから取り上げていますので、高齢社会での生き方を考える上でも示唆の多い本として紹介できる本と言えましょう。 |
/『高齢者の「こころ」事典』