コンビニ・サービスの視点
その後天下の形勢がどうなっているかはっきりとつかんでいないが、それでもこれからも各方面に拡張されるだろうと思って取り上げてみた。
今年4月15日の毎日新聞(都内夕刊)にコンビニで住民票の交付を受けられる、という記事が載ったことについてである。
千葉県市川市がコンビニのローソンと提携して「住民票受渡しサービス」を行うというものである。
初めに見出しを読んだときは、「えっ、そんなことできるの(?)」と疑問を持った。
住民票というのものは個人の住所・本籍地・年齢・続柄が分かるものだからこれを第三者が不法に手に入れて悪用しようと思えば、そうしたことは容易に
できるからである。
しかし、市川市の「住民票受渡しサービス」は、
1 住民が電話で市役所に住民票を請求する。
2 市役所は住民が指定したコンビニに届けられる。
3 住民は24時間以内に好きな時間に取りに行く。
ということのようだ。
なるほど、これなら余程のないことが無いかぎり、住民票を郵送して貰うことと原理的に変わらない。
県や自治省は守秘義務に触れないかと心配していた様だが、そういう心配は無いと思う。
守秘義務が問題になるのは、ローソンの店員が依頼のあった住民票を覗き見て、しかもその内容を無闇に他人に洩らすことがあったときである。
住民が電話で市役所に住民票を請求したときにどうやって本人確認をするのか興味があるが、これさえ間違いなければ守秘義務の問題はそれ以外には(ローソンの店員が内容を無闇に他人に洩らすこと以外には)起こりえないと思う。
したがって市川市が依頼のあった住民票を厳封してローソンに届ければ問題は無くなる。
コンビニがモノを売ること以外に新しいサービスにつとめていることは前か
ら知っていた。電気・ガス・水道・電話などの料金、コピーやFAXのサービス、切手・葉書、チケットの販売その他色々ある。
これらはローソン以外のコンビニでも扱っている。
こういうサービスを扱うことによるメリットは、サービスを受けた後に客が「ついでに何か買って帰るかもしれない」という副次的な効果を、コンビニとしては直接的な効果として把握できるところにある。
こういうことからはコンビニが行政サービスに進出することは考えられないことではない。
しかし、コンビニも、住民票の様な公文書を扱うのには対応が別れた様だ。
したがって住民票を扱うのはローソンがコンビニとしては初めてらしい。
ローソンは、「住民票を扱うコンビニ」ということで客の信頼性を高め、この点で他のコンビニとの差別化(「区別化」という表現の方が良いと思うが、、、)を図って企業イメージを高めようとしたらしい。
差別化は各コンビニが考えていることであり、その考え自体をどうこうというつもりはない。
しかしローソンは、他のコンビニが「公文書」という点に難色を示したのに対し、このサービスは「トイレの開放や地域の道案内と同じく生活者をサポートするサービス」と割り切った。
これは行政サービスの内容を細かにみて引き受けたという点で卓見であると思う。
厳封された住民票なら、渡す相手さえ間違わなければ問題はない筈である。
また、更に言えば市川市やローソンが「公文書の取扱」という問題を「住民票の受渡し」という点に絞って捕らえたということは、今後の行政サービスの本質を見つめ直すきっかけにもなるのではなかろうか?
考えてみれば、切手・はがきの販売も広い意味では行政サービスなのだが、個人商店を含めて昔からどこでも扱ってきた。
行政といえども個々のサービスを見直せばまだまだ民間で扱ってもいい部分は多い様な気がする。
色々な役所への書類の交付申請や役所への提出には特に多いのではないか?
そうして、これがファクスやパソコン通信、あるいはインターネットを通じて行うことは可能かどうかということになると、まだまだ可能性の枠は広がる様に思う。
ローソンはこの点で他のコンビニよりも一歩先んじたと思う。[1997.10.7]
