中国の性解放
最近後悔したことがある。ある新聞に中国共産党の史話が連載されていたが全く読まなかったことである。
うろ覚えの見出しを思い出しながら頭の中で並べたてると、党創立のころから現代の江沢民時代の確立までに触れ、特に太子党(中国共産党幹部の子弟達をグループ化した表現であると考えている。)の処遇にまで触れていたように思う。
もしもあの連載を読んでいれば、先日「週刊新潮」でみた写真にも驚かずに現代中国の有り様を素直に受け入れたのではないかと思ったからである。
勿論、その連載が現代中国の実態まで触れていたかどうかは知る由もない。
ただ、太子党の処遇に触れている以上、現代中国の状況はかなり分かるだろうと思ったまでである。
実のところ今までは、中国を伝統的な(ある意味ではマルクス・エンゲルスやレーニン、毛沢東の思想に忠実で)「純粋な」社会主義国家のひとつであると考えていた。
近時の中国共産党の指導部の考え方がかなり資本主義的な思考を持っていたこと、最近の党大会では公的な企業の株式会社化を考慮していること等は承知していたが、それでもそれは部分的なものであろうと考えていた。
しかし、最近の「週刊新潮」にあった写真記事をみて、その認識とはかなり違った光景を垣間見た様に思う。
そこにみたのは日本の各地の大都会の盛り場にも似た頽廃の文化であった。
10月2日付けの「週刊新潮」は、「変貌する長江を下る。」と題して重慶、楽山、三峡、小三峡等を中心に、揚子江流域の写真を沢山掲載していた。
写真はよく撮れていたし、写った光景も、、、今までも他の写真で見慣れたものがあって楽しく見ていた。
しかし、三峡の見事な写真の次に現れたのは、楽山のカラオケバーで全裸になったホステスの写真であり、御丁寧にも「実は売春宿で、女の子に500元(約7500円)払った。」という注釈まで付いていた。
しかも、重慶、武漢その他の土地についても同様のことを窺わせる写真が多数掲載されている。
残念ながら私は中国に赴いたことはない。だから「週刊新潮」の記事の見出しのように「変貌する」長江なのか、あるいは「変貌する」中国なのか自分の体験として確かめ様はない。
ことによると革命前からの残滓を未だに引きずっているのかもしれない。
あるいはまた、国際的な観光地でもあるし、特に日本人観光客がよく訪れるということから特別な地域として指定されているのかもしれない。
しかし、社会主義国になってから半世紀を経過している。写真に表れた重慶の
街は近代的なビルが林立している。
聞けば人口3000万人の世界一の都市に成長したとのことである。
ある意味では中国が誇るべき都市であると思われる。
そういう都市、あるいはこれに連なる地域の現状を示す写真群は、社会主義とは無縁のものの筈である。
概念としての性の解放には理解を持っていた筈であった私も、売春宿がこの体制の下でも絶えない現実には(あの写真が作りものでないかぎり)これが社会主義国かと疑い、唖然としてしまった。[1997.09.26]
