便利な機器の使用禁止など

便利な機器と言ってもピンと来ない向きも有るかもしれない。
私はここでは所謂携帯電話とか、ノートパソコン等の電子機器を念頭においている。
最近では手のひらサイズのビデオや、手軽なデジタル・カメラもで出回っている。

私自身もこのうち幾つかは持っており、実際にデジタル・カメラや、携帯電話のを公私の生活の中で役立てている。
これらは使い方さえ誤らなければ素晴らしい発明、優れた技術の産物であると思っている。
しかし、この「使い方を誤る」ということをどう考えるかは一筋縄ではいかない。
首都圏のJR車内では「乗車中の使用は他の乗客にとって迷惑である。」という方向を明確に打ち出していて、時折、この旨を告げる車内放送もある。
病院でも、ペースメーカー等の機器を体内に埋め込んだり常時身につけている患者にとって携帯電話の発する電磁波が有害であるとして、病院内での使用を禁止してい るところもある。

 かと思えば、心身に障害のある人の連絡手段として有効なので、こういう人が電車内などで使用することは認めるべきだという意見もある。

便利な機器についての、こういう色々な評価を聞いてみると、便利な機器を持っている人達はこれらの機器がどういう場面では人に迷惑を与えるのかをできるだけ細かく確かめ、しかと頭に入れ、個別のケースに応じて用いるかどうか決める ことがことが必要だと思っている。

この点で今春、JAS(日本エアシステム)の航空機・エアバスA300が羽 田空港に着陸進入中に、旅客の使っていたデジタルビデオ・カメラの電磁派の干渉によるとみられる複数の操縦計器が異常を起こしたことは重視すべきである。

同機はこのため空港への計器着陸が一時できなくなったという。

 何しろ航空機事故というものは原因の解明が難しい分野であるから、とにもかくにも安全第一に考えて、「運行に影響を与えるかもしれない。」というおそれがあるときは、積極的にその使用禁止措置を講ずるべきではないか。

無論、これが理想的な措置だとは思っていない。
運行中の航空機のなかでノートパソコンやワープロ等を使用したときに、これらが発する電磁波が航空機の計器に干渉するのではないかということは以前から指摘されていた。
今回はデジタルビデオカメラであったが、状況としてはカメラのスイッチを切った途端に計器は正常に戻ったようだ。
しかしながら、このデジタルビデオカメラが原因であるとも断定できないらしい。

また、昨今、電磁波が人体に対してなにがしかの影響を与えるということは経験的に語られてきている。
 かといって原因がこれらの発する電磁波であると断定できないのだから、これらの便利な機器を使用禁止にすべきだということは最善の措置とは言えない。

 したがって理想的には航空機や便利な機器の設計、或いはその製造過程で防護シ−ルドなどの開発に努めるべきであると思われる。これが一番本筋の解決である。

次には、電磁波が航空機の計器に影響を与える可能性があるということで、航空各社は暫く前から乗客に対して運行中の使用を控えるよう求めているのである から、乗客もことの重大性を考慮して使用自粛を心するべきであろう。

けれども、防護シ−ルドなどの開発には時間を要する。ましてやこれを航空機 全てに取り入れるということは、実際にはかなりの年月を要するものであろう。加えて、乗客も色々な考えのある乗客がいることだから、自発的な使用自粛を求 めても現実には実効が上がらないであろう。

 こうして、あれも駄目、これも駄目という議論が続くことになるが、しかしそれでは現実にいつ起こるかもしれない事故の可能性に対処できない。
そこで航空会社は安全輸送第一という考えを押し立て、例えば電子機器の類は機内で別保管 するなど、緊急避難的に強力な措置をとるしかないと思う。
こういうことは大事故が起こってから悔やんでも始まらないし、こういう措置に協力できない乗客は運送約款にも反していると思うから搭乗を拒否しても問題は無いはずである[1997.09.25]