銀行・証券スキャンダルの背後

野村証券の証券スキャンダルは第一勧銀に飛び火し、更に山一証券に向かった。 いや、既に大和証券が摘発を受け、日興証券もなにやら取り沙汰されている。

 俗にこれを金融・証券スキャンダルというらしいが、この言葉は銀行や証券会社が総会屋と組んで行った単純な不正行為であるかの様な印象を与える。
 事実、マスコミの報道は(既に旧聞であるが)いつも検察庁の係官が隊伍を組んで銀行や証券会社に乗り込む姿を映し出しているので、一層その感を深くさせられる。
しかし、良く考えてみればああいう場面は、要すれば絵になる場面であるから多用されるだけのことで、実際は銀行も証券会社も被害者と言うべきではないかと思わないでもない。

 無論、摘発された銀行や証券会社が会社ぐるみで商法に反する行為を行っていたらしいことは疑いのないことであろう。
しかし、その違反行為であれ犯罪行為であれ、その発端は総会屋に脅迫・強要まがいの行為があって行われたのであるから、我々の目も二つの方向に向けなければいけないのではないだろうか?

 二つの方向とは、一つは、日本を代表する存在でありながら違反行為を行った銀行・証券会社の今後について厳しく注意の目を向けていくことである。
これは誰も異存のないことであろう。特に、再びこうした総会屋との癒着が起きないよう監視することである。

 もう一つは、直接の原因を作った総会屋の実態というものを良く知り、これを社会悪として排斥する態度をとることであろう。

 思うに、二つめのことは案外に世間に無視されている。それはマスコミの報道にもよるところが大きいが、我々の関心はつい「まさか銀行が、、、」とか「まさか証券会社が、、、」という意外性のあるところに驚異と批判の目を向けがちである。
特に「総会屋なんて、大企業の株式を持たない私なんかカンケイ無い!」「そんなのは警察の仕事。ちゃんとした対応できない会社幹部が悪い。」という気持ちが強い。

 しかし、報道によると全国の総会屋は僅か1000人であるが、その背後には実に8万人の暴力団が支えになっているというのである。
現に、総会屋と縁を切ろうとしている銀行や証券会社は、こういう暴力団背景とした総会屋から様々な妨害を受けているという報道もある。
昨今、暴力団は不動産業、債権回収業など、合法的な装いを凝らして一般社会に登場しはじめており、その抗争は神戸の歯科医を巻き込んで死に至らしめるなど、今までの様に平和な市民生活とは無縁だった時代とは違う様相を呈してきている。

 今顕在化してきている金融・証券スキャンダルも、単に大会社の病理と理解するのではなく、こういう存在が許されるべきでない社会悪によるものとして捕らえ、その実態報道の少なさを是正させて行くべきではないかと思う。[1997.9.22]