

======================================
昼の散歩・高架下の店舗 17
======================================
東京郵政局前道路の東端から東京駅方面は良く見える。右側にはNTTデータ
大手町ビルがあり、左手は東京駅に向かう高架がまるで土手の様に連なっている。
その高架の先にも八重洲方向の高いビルの頂上がみえていて、こうした背景で
E電が走り来、走り去る様はいかにも都会の風景である。しかし、冷えた風が背
後から吹きつけるせいでもないのだが、ここの風景には何か侘しさがある。
東京駅丸の内北口から神田方面に高架の西側を線路沿いに歩くと、いや、線路
は高架にあるから線路沿いには歩けはしない。正しくは「高架線路下道沿いに歩
くと」というややこしい表現になるが、ずうっと線路下に店舗が続く。
私が感ずる侘しさは、この店舗のある風景だと気づいた。
ここにある店舗は残念ながら商店街を形成しているとはいえない。単なる事務
所のようなところもあるし、倉庫のような使い方をしているところもある。飲食
店も、小売店もあるのだけれども、いずれも大きな規模ではない。そして商店街
として大きくならない最大の理由は、道路を隔てて対面するビルが巨大ビルばか
りであることによると思われる。
ビルの高さにおいてはこのあたり、高架の近くあたりのビルは新宿その他の地
区に比べて高くはないに違いないが、高架を利用した商店の目から見れば冷たく
見下ろす巨人そのものであり、しかも多くのビルはその中に適度の規模の商店街
を持っているので、高架線下まで出掛けてくる必要もないようにみえる。
確かに茶色の煉瓦ばかりが目立つ高架下は、様々なデコレーションを行って客
を引きつけようとする試みの実行意欲を削ぐものかもしれない。一方では高架下
を利用する上での契約上の制限があるのかもしれない。だから同情すべきところ
が多々あるのだろう。
けれども新宿西口ガード付近や神田駅近くなどのように立派に商店街として機
能しているところもあるのだから、あまり同情してもいけなかもしれない。この
辺は難しい事情が有るということであろうか。
ただ、昼ではないが夕方にここの居酒屋に一回友人と入ったことがあるが、結
構沢山の人で繁盛していた。いったん入ってしまうと頭上の電車の音は殆ど気に
ならない。振動音を感ずるのは避けられないが、不快な程ではなかった。中も通
常の店舗と変わりはなく、外観だけが違った印象を与えているだけであった。
また、高架線下のことではなく、道路を隔てた反対側、昔の国鉄本社横のとこ
ろには夏から今に至るまで、夕方になると屋台がでて、やはり利用者がいるのだ
から、私のように昼間族の単純な見方では推し量ることの出来ない魅力があるの
かもしれない。
何といっても、この商店群が建物の巨大化と必ずしも共存しているとは言いが
たい状況下にあるのに、現実に永く存続し続けているということは敬意を表して
もいいことだと思う。
平成4年11月30日のこと

案内に戻るときはこちらをどうぞ。
