
平川門近くまで
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昼の散歩・平川門近くまで 13
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歩道橋から降り、大股で歩きはじめる。竹橋方向からジョギングの若者たちが
駆け上がってくるので、時々道の右側、お濠側に寄る。もっとももうこの時間に
なると毎日新聞社側からお濠側見たときのような沢山のランナーは見えない。
歩きはじめてから直ぐに北桔梗門を過ぎる。この門の奥は江戸城天守閣跡があ
ると聞いたことがある。この北桔梗門から乾門方向にかけて乾濠がある筈だが、
横断歩道橋の上に立ったとき、そこから眺めるのを忘れてしまっていた。
今右手に見えているのは平川濠である。平川濠と大手濠は近接しており、この
位置的関係は地図で示せば簡単だが、文章で示すのは難しい。
今歩いている方向とは逆だが、平川門のT字型交差点に立って竹橋を正面に見
ると、右がパレスサイドビル、左側がお濠になる。このお濠が大手濠で、この内
側に(皇居内寄りに)平川濠がある。そして大手濠は竹橋で終点となり、お濠は
大きく右に迂回して九段へ向かう。この大きく迂回した竹橋から先のお濠は清水
濠となる。一方、竹橋から乾門へ向かう方向左手にも、竹橋を渡りきってから別
にお濠が見えるが、これは今まで大手濠の内側を流れていた平川濠が、大手濠が
終わって前面に出て来、北桔梗門まで続いているお濠である。
では何故平川濠かというと、大手濠の内側にある濠に面して平川門が位置して
いるらしいからであろう。このようなことからパレスサイドビル側からみると手
前の大手濠は見えるが、平川濠は内側になっていて見えないことになる。
さて、乾門から竹橋へ至る道は下り道なので、快調に歩みをを進めることがで
きる。11月も末というのにまだそれほど寒い風ではなく、先刻反対側の道は上
りなのに敢えて急いだり、また横断歩道橋を駆け登ったりしたので、時に感ずる
風の流れも汗ばんだ首筋に心地良い。
平川濠の名の由来となる平川門はまだ先である。やがて、また竹橋の仮歩道橋
を渡る。ここでも一人の中年のほっそりした割りには筋肉の締まった男性がジョ
ギングして駆け上がってくるのと行き交ったので、やや尊敬の眼差しを向けて道
を開けて差し上げる。
仮歩道橋を渡るともう平坦な道に戻る。竹橋を過ぎたので大手濠だ。そしてま
もなく平川門前を通過する。ここは、江戸時代の城内のお女中衆の通用門だった
とか、死者が出た場合の不浄門だとかいわれている。
路上に目を移すと、銀杏の落ち葉が歩道を黄色に染めつつある。地面をみると
相当な量の落ち葉だが、銀杏の木を見上げると、まだ落葉しない葉が一所懸命に
樹木にしがみついている。中には一本の木に数枚しか残っていないという哀れを
誘う木もあるが、多くの木はまだまだ落ちないぞ、という強気の姿勢が目立つ。
そうした木は葉の色も艶があり、歩きながら見上げると秋の高い青空にほどよく
調和した色合いを醸している。見上げた目を今度は下に向けると、この近く一帯
の生け垣に時折、ポツ、ポツっと可憐な花が咲いている。山茶花であろうか、淡
紅色の花が緑の生け垣のなかで一際映えていて目を楽しませて呉れていた。
「秋」と、一口では言えそうになく、自然も多様なものである。
平成4年11月26日( 木) のこと

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