講演記録6

「インターネットの功罪」


(注)この講演記録は1999年11月に行なったものに、補筆、訂正を加えたものです。
 なお、講演者の都合から実際に講演したものとは若干異なった表現に変えている個所があります。


目次

 はじめに
 インターネット時代
 インターネットの仕組み
 インターネットの魅力またはインターネットがもたらした利点
 インターネットの短所または問題点
 インターネットビジネスの現状と行方
 終わりに



 1 はじめに

 先日は本会主催のセミナーに参加して、「わが意を得たり!」という気持ちが致しました。

 本日お出での方の中でも、当日、参加された方が沢山お出でであると思いますが、しかし、当日はご多用のために参加できなかった方もおられると思います。その方のために少しだけ当日のお話を申しあげたいと思います。
 当日のセミナーは、高名な国際エコノミストである長谷川慶太郎先生をお招きして「21世紀の世界と日本」という演題で有益なお話をいただいたところです。長谷川先生はその話の最後に、「経営者の皆さんは是非インターネットをおやりなさい。これからは経営者にとってインターネットは不可欠のものですよ。」というお話をされたところです。

 私は、4年前からインターネットにホームページを開いております。
 私のキーワードは高齢社会、インターネット、俳句の三つですが、時に講演を頼まれれば、きまってこの三つを結びつけた話をしてきております。ただ、どうもその印象では、「今までの人は仕事に関係する話が多かったのに、インターネットの話なんて、今度の講師は変わっている。」と思われたかもしれないという気が多少していました。

 それが、ちょうど長谷川慶太郎先生が時宜を得たお話をしてくれたお陰で、どうやら「今度の方はなかなか進んだ話をされる。この講師は時代の最先端を行っているね。」と思ってくれるのではないのかという気を持ち始めています。
 こういう意味でもセミナーの実行委員会の方々が、この、今年に、長谷川慶太郎先生を講師としてお招きいただいたことに感謝しております。今日はセミナーとは違うので、ここで感謝の意を表すのはおかしいかもしれませんが、関係者の方がおられたらお取次ぎいただきたいと思いましてお話した次第です。

 私は、この我々が生きている最近のこの時代は、今や音を立てて動いていると考え、常日頃職場でもそのように話しておりますが、このことは現に経営者としてどちらかというと苦しい現実に直面されている皆さんも実感していただいていることではないかと思います。
 そしてこういう時代こそ、世の中の動きの中心にあるのは何かを考え、そこに目を向けなければならないと思いますが、インターネットは正にその一つ、というか、大きな一つであると思います。
 長谷川慶太郎先生の話は味がありましたが、一つ、ユーモラスな面もありました。あの方は、ご自分の考えを強調されるときには決まって「これは本当のことでございます。」と話されるんですね。あんまり何度も「これは本当のことでございます。」と仰られるので、一体何回お話になるのかなと思って注意していたら、大体1分間に3回は「これは本当のことでございます。」とお話されるんです。あんまり何回もお話になると、私のような天邪鬼は、「本当のことでございます。」といわれる度に「本当かな(?)」と懐疑の思いを抱くのですが、ですがこのインターネットのお話のときは「うん、やっぱり本当だ。」と思ったところです。
 そこで、私も今日は、時々「これは本当ですよ。」ということを所々に織り込んで話をしたいと思っております。

 冗談はさておき、この「インターネットの功罪」という演題は、長谷川慶太郎先生の講演を聞く前から決めていたテーマなので、決して二番煎じではありません。「これは本当のことでございます。」
 私自身がインターネットに深く関わっているので、その体験も交えながら、しかし、今日はどちらかというと「インターネット評論家」とでもいう観点から、少し、現在のインターネットの長所と短所について私の考えを述べてみたいと思います。 特に、いつもキーワードとしている高齢者とインターネットという観点ではなく、会社経営とインターネットという視点を多くして話していきたいと考えています。

   今日、お話する事柄を申し上げますが、まず、

 現在はインターネット時代であるということに触れてみたいと思います。
 次に、インターネットの仕組みについて簡単に話してみようと思います。
 その後に、インターネットの長所というのか、魅力、利点について解説してみたいと思います。
 そして、このインターネットにも短所はあるということに触れてみたいと思います。
 最後に、インターネットと経営というかネット取引の現状と将来についてコメントしてみたいと思っています。




 2 インターネット時代

 さて本題に入りますが、ともかく現代はインターネット時代に入ったといえます。
 インターネットそのものの歴史は、古いものではありません。
 インターネットが誕生したのは1969年10月29日。今年は31年目です。国防総省の後押しではじめられたARPAネットワークが初めてアメリカ東部海岸から太平洋岸にまで通信を達成した日です。

 その後1991年にWWWが出来ましたが、まだインターネットは研究者や学者のものでした。

 これを劇的に変えたのがイリノイ大学で開発されたモザイクで、これを商品化したネットスケープ社のナビゲーターが世に出たのが1994年10月13日です。実は、この時期を境に「インターネットが爆発した。」とも言われる時代となったのです。したがってインターネットの時代とは僅か5年前からと言ってもいいかもしれません。

 こうしてインターネットは、一部の学者や研究者のものだった時代は過ぎ、現在は、個人の趣味の時代も超え、ビジネスに不可欠なものになりつつあります。
 これを証明することはそんなに難しいことではありません。皆さんには会社経営の中で重要な、資本調達の分野、即ち株式市場でインターネット取引が猛烈な勢いで広がり始めていることを示せば十分ではないかと思います。

 例えば最近の新聞記事がここにありますが((注)日本経済新聞1999年11月7日付)、株式市場ではインターネット取引が猛烈な勢いで広がり始めております。昨年4月、外国為替管理法改正などによるいわゆる日本版金融ビッグバンが始まっていますが、これによりインターネットを利用する個人の株式取引が可能になりました。これにいち早く参入したのは大和證券ですが、その後、松井証券、野村證券など多くの証券会社が参入しました。
 これによる口座数ですが、本年の3月には僅か3万口座程度であったものが、先月末10月末には30万口座を越すに至りました。特に10月1日からは株式委託手数料が完全自由化されたのに伴い、最大で9割も引き下げられました。ソニー系列のマネックス証券では、百万円までの成り行き注文は手数料一律1000円となっています。
 この場合、証券会社は店舗を持たなくても良いので人件費を低く抑えられるので株式委託手数料も安く抑えることが出来るわけです。このこともあって、1ヶ月間で5割も伸びている(22万2000口座が30万2000口座。55%増加)のです。どういう階層がこれに応じているのかと言うと、対象は30代から50代のサラリーマンが中心であると言うことです。こうした伸びの中で、個人の株式取引件数全体に占めるネット経由の割合は未だ少ないものの、年末には3割に達するのではないかという見方も出てきているようです。

   更に言えば、現在インターネット人口は1700万人といわれていますが、この数は最近の発表を見ていると1ヶ月に100万人も増加する勢いを見せています。
 特に、従来インターネットといえば若い層が執着するものと思われ、いわゆる情報弱者といわれる高齢者や主婦の間では縁遠いものと思われる嫌いがありました。
しかし、最近では高齢者や主婦層が結構インターネットを利用するようになっています。
 こうしたこともあってか、神奈川新聞((注)1999年9月15日付)によると神奈川ともしび財団のホームページは高齢期の暮らしに関わる県内情報を掲載するようになりました。

 私は、わけあって7年程前から高齢者のパソコン通信フォーラムに関係してきましたが、現在パソコン通信はインターネットとの間の垣根が無くなり、このために高齢者がインターネットのホームページを見るようになったのに留まらず、私のように参加者自らがホームページを作成して情報発信、あるいは双方向通信を楽しむようになってきています。

 主婦層についても、いわゆるSOHOという居ながらにしてビジネスに関与できるホームビジネスに関係している人がかなりおります。

 これを会社経営に関して言えば、インターネットを利用する企業広告が増大していること、大学生らへの求人情報提供にとってはなくてはならぬものになってきていること、モールと称するインターネット商店街の展開が無視できないものになってきていることなど、インターネットは経営の新しい分野に広がりつつあると言えるでしょう。
 先日、長谷川慶太郎先生が、「今は官公庁はどこでもホームページを持っていますよ。ここにある情報に目を配っていないと会社経営が大変なことになりますよ。」と言っていましたが、これもそのとおりだと思います。

 官公庁のホームページが効果をあげている例としては東京都のホームページの例があげられます。10月30日の朝日新聞によりますと、東京都は9月から環境対策として「ディーゼル乗用車には乗らない買わない、売らない」というキャンペーンを行っているそうですが、ホームページ上でこれについての賛否を問う議論を行っていて、すでにこの議論には500人もの人からの意見が寄せられている。ということです。賛成意見は「環境改善に向けて規制を行うべし」というものなど、また反対意見は「東京の物流にはディーゼル車が必要」というものなどのようですが、いずれにしても官公庁の公聴制度の新しい進め方としてキャンペーンを行った効果は出ていると思います。

 このようなインターネット時代がどのようにして形成されてくるようになったかというと、何と言ってもパソコンの低価額化、便利なソフトの普及ということに尽きる。今日の新聞を見ていますと、10万円パソコンの時代は過ぎてしまって、広告では89800円と言う機種が出ています。
 それどころか、パソコンを販売するのではなく、無料で配布する時代です。正に、「パソコンの大量配布時代」(日本経済新聞10月29日)です。これはパソコン自体は無料で、インターネットへの接続料は徴収するものですが、そういうものとしてのパソコン配布サービスは月額3980円が主流です。これにはNTTコミュニケーションズ、バーテックスリンク、テイアイエサイ・メデイア等が日本IBMのアプィバ等の機種を使って行っています。

 このインターネットの影響力は大きいものがあると思いますが,この点について,少し前ですが9月20日の日本経済新聞社説は象徴的な主張をしています。
 
 「インターネットは情報の壁を崩す」という強い威力がある、という主張です。  題は「中国50年の進路」というものですが、建国50周年を迎えた中国がこれからの50年を乗り切るためには3つの構造問題をに正面から立ち向かわなければならない、として
(1) インターネット普及と政治民主化、
(2)急ピッチな老齢化と社会普及、
(3)環境汚染とエネルギー不足
を上げています。
そして、中国は「社会主義体制のもとでこれまで党や政府が完全に情報をコントロールしてきた。何か事件が起こっても、その事件への評価が定まるまでは報道しない、発表しないという情報の壁があった、としています。
 ところが、今の中国のインターネット人口は400万人、ホームページ数が既に3万を越えていてこの1年で4倍に増えているということです。こうした状況の中で、中国では最近預貯金について利子税が導入するという決定がされましたが、これについてあるホームページがアンケートを行ったところ、約半数が批判的な答えをしたということです。
 いうなれば、国民の声が直接伝わるようになった。このようにニュースはいち早く伝えられるし、事件を隠しておくことも出来なくなり、いわば情報の壁が突き崩されつつある、こういう主張です。
 社説は、要するに「インターネットがこれから更に普及していけば一般市民の政治参加への欲求は一段と強まる。これに対応できるような柔軟な仕組みを社会主義を維持しながら続けていくことが出来るのかどうか問われるものと思う。」
としています。
 10年前、ハンガリーが隣国出国を無条件で認めたことに端を発してベルリンの壁が崩壊し、永きに渡った冷戦が終わったのですが、そこに至るまで、テレビ、ラジオ、インターネットを介して情報の大河が冷戦の一方につながり、それが人々の意識を変えてきたことを考えると、この社説は情報の威力を的確に物語っていると思われます。




 3 インターネットの仕組み

 さて、ここで今後の話に関係があるので、簡単にインターネットの仕組みについて触れておきたいと思います。
 インターネットとはサーバーといわれるコンピュータが電話回線や専用回線などで繋がりあった巨大なネットワークのことを言います。
 サーバーはホームページの格納場所として、また送ったり受領したりする情報の扱い場所としてネットワーク内で要の位置を占めています。インターネット上の情報ターミナルであるとも言えます。
 インターネットは世界に幾百万とあるサーバーの集合体で網の目のように密接に繋がりあって、何らかの理由で一つの通信路がつかえなくとも別の通信路を辿って情報が届けられるようになっています。
 我々個人が家庭などからインターネットを利用する場合は、電話回線で、加入しているプロバイダが管理しているサーバーにアクセスポイントを経由して接続することになります。

 ここで誤解を招きやすいので一言触れておかないといけないと思いますが、インターネットはイントラネットとは違うということです。
 イントラネットを説明する前に本当はLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を知っていただかないといけません。
 これは会社や団体が専用の回線や自衛のネットワークを使って、一般の人が使っている公衆回線とは別に自分のためだけに構築するネットワークです。例をあげれば、これには銀行のオンライン・サービス、POS(販売時点情報管理システム・ポイント・オブ・セール・スキャニング)などがあります。
 イントラネットはインターネット技術を利用した企業内ネットワークのことです。インターネットとの接続を行うゲートウェイから内側の企業内ネットワークの通信方式にTCP/IPを使っているところに特徴があります。TCP/IPというのはインターネットを行うためのプロトコル、つまり国際通信規約のことで、この方式があるのでイントラネットはそのまま外部のインターネットに接続することも可能となります。

 このほか似たものに今や設計面ではCAD(Computa・Aided・Desine)、製造面ではCALSが大企業で主流になっています。CALSは「コマース・アット・ライト・スピード」の略とも言われますが、「光速の商取引」即ち、標準化と情報統合化技術を用いた、装備品などの設計、開発生産、調達、管理、後方支援などライフサイクル全般について、経費削減、リードタイム短縮、品質向上を目指す戦略的アプローチのことです。
 これらもインターネットを通じてデータを送ることが出来ますが、しかし、インターネットそのものとは違います。
 ですからパソコンが増えたからインターネット時代だというのではないということをご理解いただきたいと思います。




 4 インターネットの魅力または、インターネットがもたらした利点

 では、このインターネットはどういうところに魅力があり、または社会にどういうメリットをもたらしたものでしょうか。
 第一に上げなければならないのは、インターネットがもつ情報が量的に極めて豊富で、また多様性に富んでいるということである。この点が最大のものであると言って過言ではないと思います。
 例をあげればきりがありませんが、まず政府情報、企業ディスクロージャー資料、判例検索情報、特許情報、趣味嗜好・娯楽情報、芸術・文化・文学、高度に専門的な科学情報、政治、宗教、等々インターネットが対象とするものはこの世の生きとしいけるもの全てに、森羅万象全てにわたっています。森羅万象ですから、真面目な世界だけではなくポルノもあれば、アダルト・ビデオもあることになります。

 第二には、コミュニケーション・ツールとして極めて有効なものであるということです。
 これにはE-mailとホームページの掲示板機能があげられます。
 E-mailは1対1の会話が原則です。
 しかし、メーリングリストというE-mailの一形態を使えば、1対多数者、多数対多数という複雑な組み合わせにも便利です。
 E-mailは普通の手紙であると考えれば、手紙のやり取りをコンピュータでするだけかということになってしまいますが、先ず、高速で到達するという点の利便が違います。またこれは電話と違って相手が不在であっても確実に情報を伝達できるものです。
 更に、メーリングリストの場合は特定の人のは話を聞いていて、興味があったり必要があったりすれば途中からでも、前後の事情を全て踏まえた上で会話に参加できます。つまり、会話が参加者全体で共有できるというメリットがあるわけです。
 更に、ホームページにも同様の機能があります。これは掲示板方式というもので、メールではなく、何か発言したいことがある場合にはこの掲示板に意見を書き込めばよいというものです。

 インターネットというと即ホームページのことであると思われがちです。実は、この他に他人のコンピュータを利用するテルネット、ファイルを他のコンピュータに送りつけたり持ってきたりするファイル転送(FTP)、意見交換をするニューズ(NEWS)というものがあります。こうしたインターネット機能の中で、この掲示板機能はニューズに似ていると言ってよいと思います。

 現に私のホームページにおいても掲示板を3つ置いています。一つは誰もが書き込めるようになっている「幸齢交歓室」というもので、これはニューズに似ているということができます。
 もう一つは会員限定の掲示板で、ここには私に本名、所在、電話番号等、基本的な人格識別情報を登録した人に限り、パスワードを発行して書き込むことを認めた掲示板です。ここでは参加する方の本音を語ってもらおうと思って「ほんね談話室」と名づけています。
 三つ目は、私が書きこむだけで、他の人には書くことが出来ない、他の人からみれば読むだけというリードオンリーの掲示板です。私はここには「今日の雑感」として、時々新聞その他世相から感ずる事柄などを書き連ねています。  この3つ目の場合は少し毛色が違うが、その他の掲示板は、いうなれば電子会議室とでも言うべきもので、ある意味では自由な意思の疎通を図ることが出来るものであると思っています。

 無論、こうしたコミュニケーションの中身では問題が無いわけではありません。 ただ、それは、それは今日の主題を外れますので割愛させていただきます。

 インターネットのもたらした利便ということでは第三に情報格差の解消ということが上げられます。
 日本はあらゆる意味で東京圏一極集中という状況であり、この結果として生活環境面、交通対策、経済面等色々な面の不都合が指摘されてきたが、情報格差もその一つであろうと思われます。
 関西の商社や銀行、あるいは愛知県のトヨタが、それぞれ世界や国内で名のある存在なのにわざわざ東京に本来の本社とは異なる「東京本社」をもち、場合によっては東京駐在の経験がなければ「本来の本社」に帰っても出世できないという傾向があるのは、やはり東京に経済機能のほかに重要な情報が集中している証拠であろうと思います。
 この一極集中の反省として首都圏機能の移転ということが言われたりしているのだと思います。
 私は東北の生まれであり、東北で育ったものです。
 東北での仕事も8年ほどありますが、仕事で出かけて行って会社の社長さんに会って、「新聞では好況になっているというじゃあありませんか(?)」と言っても、「能彦さんは若いからそんなこと言うけど、東京の景気が良いといったって、その影響がここまで来るのは半年掛かるよ。しかも、ああ、ようやく商売がよくなったなあ、、と思っても、東京の景気が悪くなれば悪い方は1ヶ月でこっちに届いてしまう。だから商売は楽でない無いんだよ。」というわけです。
 ま、こういう人の話が全部が全部正しいわけではないし、普通は立派な事業をなさっているのですが、しかし、一面の真実ではあろうと思っています。

 こういう情報格差の存在と言うのは経営に限らす、政治の面でも、社会生活の面でも大変大きなものですが、インターネットは高速でかつ情報量が大きいですから、瞬時にこういう格差を均一なものとして是正してくれます。
 先ほど、中国の利子税導入に関して、インターネットは情報の壁を突き破ると申しましたが、似たような事柄であろうと思います。

 第四に、インターネットを利用すれば時間、コストの削減を図ることが出来ます。
 先ず、意思決定。これはE-mailを使ったり、セキリュテイのある掲示板やチャットシステムを使えば、意思の疎通はスムーズに行くのですから内部的な会議、打ち合わせのために出張すると言う機会が減少します。

 得意先との関係。これも取引先との相互のコンセンサスさえあればE-mailを使っての打ち合わせなどが可能になるでしょう。
 更に、インターネットを利用して商取引を行うと言うのであれば、場合によっては店舗とか人件費が不要になるので、これは大幅なコストの削減に繋がるものです。
 また、フォームという形式を利用すれば簡単にアンケートがとれてしまいます。更に自分のホームページにアクセスしている人がどういう人かという追跡も可能になってきますので、マーケットリサーチ的な活用も可能です。
 したがって、調査のための時間、コストの削減は大きなものがあると思います。

 評論家の立花隆さんは「インターネットはグローバル・ブレイン」という本を書いておられます。その言いたいことは、本の題名のとおり、インターネットは地球の脳だと言うわけです。
 これはピーター・ラッセルと言う心理学者・理論物理学者の言葉をひいています。 ピーターラッセルの発想は、地球と言うのは小さな元素から出発してきて、段々に大きくなってきている細胞のようなものであり、素粒子から、原子、分子、巨大分子、それから単細胞、複雑な多細胞、そして組織、そしてヒトと言う流れの中にあって、今更に大きくなろうとしている。このとき、丁度、人間は地球の神経細胞のような存在であり、インターネットはそれによって形作られている脳である、というものですが、現在のインターネットの役割は未だそこまで行かなくとも、いずれは立花隆さんの言うような状況になるのかもしれないと思います。

 こうしたメリットはホームページを作成してインターネットに接続すれば可能になります。そしてホームページというのは実に手軽に出来ますし、今ではこれを支援するソフトも沢山出来ております。
 現実にどのようなホームページがあるのかについては、官公庁のホームページなどを紹介したわけですが、その他のものについて次にお話してみましょう。

・サイバーショップ
 これは色々なプロバイダ、たとえば@ニフテイ、リムネットその他のプロバイダや大企業のホームページなどがインターネット上にホームページとともに開設しているモール・商店街がサイバーショップです。
 オンラインショッピングという、インターネットでは今では代表的なビジネスと言えます。ここでは様々な品目の商品が扱われています。
 日用品、衣料家電製品、パソコン、ソフトウェアなどがあります。自動車もあります。
 成功例としてよく上げられるのはアマゾン・ドット・コムというネットワーク書店があります。
 アメリカの場合では昨年暮れのクリスマス商戦でネット販売で購入された商品が40億ドル、日本円で約4200億円であったと言います。
 日本では、郵政省の調べで昨年1年間では1665億円であったといわれます。
 アメリカとはかなり規模の違いがありますが、96年が300億円弱、97年が800億円であったと言いますから1年で倍増と言う成長をしていることが分かります。
 形態は通信販売に似ていますが自宅や職場から24時間いつでも購入できるところに特色があります。
 海外のサイバーショップから輸入と言う形で購入することも出来ます。

・海外通販
 海外との通信販売は最近様変わりしてきています。
 海外通販はインターネットとは別に以前から行われていました。しかし、その後伸び悩んでいたのですが、最近はインターネットを利用し、ドル建てではなく円建てにしたり、ホームページやカタログも日本語表示を行い、安い送料体系や、注文・返品システムの簡便化を図ってきています。
 「為替差益を利用した直輸入ショッピング」と言う発想から「利便性重視」の姿勢に変化しています。海外通販の大手と言うのは横浜市にあるランズエンドと言う会社ですが、この会社は先月から商品選びから決済まで日本語で行えるようになってきました。品選びも友人とチャットをしながら買い物が出来る「ショップ・ウイズ・フレンド」という方式を採用しています。

・ネット上の書店
 ネット上の書店も充実してきました。最近は配達が早くなり注文後4日で配送されます。文教堂のJ−BOOKの場合は24時間以内の配達が売り物です。送料は1冊280円、2冊以上だと320円となっている。
 この他紀伊国屋ブックウェイブ、文教堂・ジェイブック、丸善インターネットショッピング、リクルート・イサイズブック、ブックサービス、青山ブックセンターインターネットショッピング等がサービス向上に鎬を削っています。

・ネット観戦・大相撲
 大相撲は1996年の9月場所から大相撲ホームページをスタートさせ、順調にヒット数を伸ばしてきています。ここでの売り物は往年の名勝負が繰り返し見ルことが出来ると言うことでしょうか。
 この他、音楽,映画関係のホームページは沢山あります。

・お歳暮の注文
 各デパートが工夫を凝らしています。 ・農業関係のネット取引
 メールでスイカや林檎の出荷予約をしています。JA長野中央会がスイカ・林檎、和歌山県紀南農協が梅干、みかんをホームページで販売しています。

・ホームバンキング
 各銀行ではインターネットを利用して送金や決済をするサービスが進んでいます。

・その他
 このほか電子出版、ネットオークションもあればインターネットで学校を創設するところもでてきました。正に多様な内容になっています。




 5 インターネットの短所または問題点

 ところで今日の演題はインターネットの功罪と言うことであって、必ずしもインターネットを賞賛しようと言うことではありません。
 インターネットにも様々な弊害が出ていると感じられるところがないではありません。今度はこの点をみてコメントしていこうと思います。

 先ず第一に言われるのが通信料の高さです。これは主にアメリカとの比較において語られています。
 長時間インターネットにパソコンを使ってしまい、後で電話料金の請求書を見て驚く人は少なくない言われているところです。確かに、インターネットは情報量が豊富で内容が多彩ですから、ネット・サーフィンを行ったときに時の流れを忘れるくらいに熱中することがあります。こうなると、予期した以上に通信料が高額になることは有り得ます。
 しかし、私は「言われる。」と話しましたが、私自身は格別高すぎると思ったことは無いのです。プロバイダに払う料金はニフテイが3000円であり、以前はINFOWEBというところがあったのでこれが3500円でした。今では両方が合併してしまいましたので、だから両者併せて6500円前後となります。  現在ではもっと安いプロバイダもあるのですが、しかし、開設してしまったホームページの変更、引越しなどを考えますと、この位は仕方ないかな、、と思っています。

 ただ、問題は電話料金だといわれている。「アメリカとの比較」と言うのも、主としてNTTなどの電話会社の設定が問題視されているわけです。
 我が家の場合を見てみますと、インターネットの場合、テレジョーズというサービスを受けているのですが、それでも深夜にだけインターネットにアクセスしているわけではないので、ほぼプロバイダに払う料金と同額の電話量が必要となります。  ところが実際にはこれよりも多く掛かっているので矢張り驚くことがあります。あるとき、「どうしてかな(?)」と思って調べてみましたが、分かったことは私が使う通信料よりは妻が日中とか夜に北海道や長野に住んでいる姉妹や、関東近県に住んでいる彼女の友人達との市外電話量が多いことが分かりました。
 「これは本当のことでございます。」
 ですから、私自身は通信料は高いと思っているのではありませんが、しかしアメリカと比べると高いのでしょう。識者やマスコミでは、「これではインターネットはまだまだ普及しない。」という論調です。

 こうした声に答えて、NTT東日本と,同西日本は11月から月8000円の定額料金で使い放題になる試験サービスを一部地域で行っています。私は8000円となるとかえって高くなるのでこのサービスは利用していませんが、しかし,この価格でもアメリカの2倍から3倍になっているのだそうで,国会等からは月額5500円程度にしなさいと言われているようであります。
 こうした声はかなり大きいので、また,時代の流れでもあり通信料のことはいずれ問題がなくなるのではないかと思っています。

 次に、第二としてインターネット上のトラブルが多い、と言う問題があります。  これは大別すればオンラインショッピング上のトラブルと、コミュニケーション上のトラブルの二つになります。

 オンラインショッピング上のトラブルは、結構多彩なものがあります。
   ・代金を送ったが店が実在しなかった詐欺的商法
 ・他人の名前で商品を買うと言う「なりすまし」や取引内容の改ざん
 ・誇大広告、取引条件の表示が不適正だった例
 ・クーリングオフ制度や返品保証制度が適用されるかどうか不明なためのトラブル
 ・プライバシーの保護が万全だったかどうか(クレジットカードの番号が盗まれたのではないかという不安)という問題

 はじめの二つについては刑事犯として追求するしかないが、現実には無理があり泣き寝入りになる例が多いようです。
 また、その他の問題については法制度の整備が必要であると言われたりしますが、しかし検討してみると、憲法で保証されている通信の秘密がネックになって、法的な整備を進めることが思った以上に困難であることが多い、という事情があったりします。
 したがって今のところは消費者自身が自己責任の原則を強く意識して「行動することが必要な状況だと思われます。

 考えてみますと、元来、インターネットというのは秘密を持たない世界でした。できるだけオープンにして科学者や研究者の交流を図ろうと言うことが中心の世界であったので、ここでお互いに秘密を守りあおうという発想はなかったのではないかと思います。このことはコンピュータを素材としたいくつかの小説を読んでみても、少なくとも大学のコンピュータは秘密保護に関してはあんまりセキュリテイがよくなかったことからも良く分かります。
 ですからインターネットに種々の規制を求めようと言う姿勢がそもそもインターネットを理解できないことなのかも知れない、という気もします。
 しかし、インターネットの発展はインターネットの予定しなかった事態を生んでいることも間違いないのですから、できるだけ誰もが安心してインターネットを利用できるようにすべきものであることは間違いないでしょう。

インターネット上のトラブルについてはもう一つ,コミュニケーション上のトラブルがあります。
 皆さんの記憶にもある典型的な例は東芝ホームページ事件だと思います。
 ある青年が東芝から購入した製品に苦情を呈したところ、逆に東芝の担当者から暴言を浴びせられた。そこでこの青年は自分のホームページにこの録音した暴言を載せて暴露したところ、短期間に600万件のアクセスがあり,東芝が非難されたので、結果として東芝は記者会見で謝罪し、担当役員が福岡まで出かけて本人にも謝罪したと言う事件です。

 このケースは、一個人が大企業に謝罪させたと言う点でインターネット時代の象徴的な出来事だと思います。
 そして、このケースはホームページが体験に基づいたものだったので人々の同情乃至関心を集めたものだったと言えるのではないでしょうか。もしもこれが事実ではなかったり、悪意に基づく虚偽の情報や誤った内容だったら、この事例とは逆に、インターネット上では標的にされた会社や企業は大きなダメージを受けかねないものだったでしょう。そういう言う意味で正に注目されてしかるべき事件でした。

 私は当初はこういう事件がインターネット上で起こっていると知りませんでした。ですから私が毎日アクセスしていたインターネットの世界ではあっても、関心を持たないと知りえないというのは通常の世間でも同じであろうと思います。
 私は新聞報道があってから暫くしてこのホームページにアクセスしようとしたのですが、そのときは、既に東芝が謝罪した後であり、しかも福岡の青年が自らのホームページを閉じたと聞かされた後であった。ですから東芝の担当者が応対した時の声なども、もう聴くことは出来ないと思っていたのですが、関連するホームページの中ではこの声を複製して掲げているホームページもあったので、幸い、この声を聞くことができました。これを聞く限り、東芝の初期対応は間違いであったと考えます。

 ただ私は、インターネット弁護士協議会の牧野二郎という弁護士の見解を知りたかったというのがアクセスの真の目的でした。そこで牧野弁護士のホームページにアクセスしたのですが、牧野弁護士のホームページには福岡の青年のホームページのURLがリンクされていました。そこで、これを辿ったところ、幸いにしてこの青年が再びホームページを再開した後のホームページを見ることが出来ました。
 彼は,東芝が謝罪した後、他の人に「あの人は本当はクレーマーだった。」と中傷されたので、これに反論するために開いたホームページだったようです。ところがこのホームページにアクセスして驚きました。なんと私がアクセスしたときは1600万件をはるかに過ぎたアクセス回数でした。
 私は、このとき実は疑問に思いました。一度閉じたホームページが、どうしてこういう巨大なアクセス数になっているのかと。。。。普通なら新しいホームページですから、カウントもまだまだ若いのではないかと随分と不思議に思ったところです。
 ともあれ、また牧野弁護士のホームページに帰って30分ぐらいこの弁護士の見解を読んで、更にプリンタで印刷してから、気になってまた福岡の青年のホームページに向かいました。そうすると、私が30分前にアクセスした時に比べて、既に1000件もアクセス数が進んでいました。私は休日の昼にアクセスしていたので、そんなにアクセス数が著しく増加するという時間帯でもないと思うのですが、こういうアクセス数の変化を見ると、そもそも短期間に600万回のアクセスがあったという、最初の新聞報道が腑に落ちない感じがしました。

 こうしたことは、コミュニケーション上のトラブルと言う点から見れば相当に脇道に入った話になってしまいますが、ただ私は、インターネット上のコミュニケーションに関するトラブルについては、本当にトラブルがあるのかどうか、場合によってはやらせではないのか、、という面から考えることも必要だと思います。当事者同士ではあんまり意識していない言葉のやり取りでも、他の参加者から見るととてつもなく激しい攻撃の言葉の応酬にみえる、こいうこともあります。
 したがってコミュニケーションに関するトラブルについては、こういう情報の真実性の検証が不可欠だと思います。

 インターネット上にあることは,自分達の生活感覚に照らしてみて真実であると言えるかどうか,虚偽や意図的な情報操作を見分ける確かな目、そして何度も慎重なチェックが必要だと思います。

 第三としては本人確認、、、相手が存在するのかどうか、あるいは自分の個人情報の流出をどう防ぐのかと言う問題もあります。
 インターネットは匿名性の高い世界です。現にこう話している私自身が、インターネットに開いているホームページでは本名を名乗っていません。  これは一つには私自身はパソコン通信時代からペンネームを使っていて,その方がインターネットの社会では通用しているからでもありますが、しかしもう一つには予期しない個人情報の流出が怖いという事情もあります。
 しかし、オンラインショッピングをするに当たってのセキュリテイについてはそんなに心配することはなかろうと思います。この場合には銀行であれクレジット会社であれ二重三重に配意しています。
 心配なのはやはりコミュニケーションを交わすときのことでしょう。本人と会ったことがないとか,肩書き住所であるとか、携帯電話番号であるとかのときは相応の注意をしているにこしたことはないと申し上げておきます。

 第四に著作権保護の問題もあります。
 これで最後ですが、著作権の問題は直接皆さんに関係することではないかもしれませんが極めて多くの問題が残されています。音楽著作権もそうですが、文章の著作権、ソフトウェアの著作権について、原著作権者との複雑な問題が発生しがちです。インターネットをただ傍観者として過ごすときは何の心配も要りませんが、私のようにホームページを作る等のことをした上でインターネットに参加されるときは、是非、他人の作ったものはそのまま利用しないと言う態度を取る必要がある、と言うことだけ申し上げておきたいと思います。

 このほかインターネット上の短所として言われるものとしては、自殺用の青酸カリを販売したとか、あるいはストーカー的行為とか様々な犯罪に関係するものがあります。しかし、これは犯罪ですから、インターネットを利用しようが何を利用しようが常にある問題です。無論、この中に特有の問題があることは否定しません。例えば、インターネット上の行動で犯罪行為が起こりえるのは、一つには、インターネットには管理者がいないことによるという問題もあります(牧野二郎・西垣通「インターネット社会の正しい読み方」34ページ)が、今日は割愛いたします。




 6 インターネットビジネスの現状と行方

最後に、インターネットビジネスの現状を「俄インターネット評論家」として申し上げたいと思います。
 お断りしておきますが、私は皆さんにインターネットの功罪についてお話ししているのですし、インターネットの功罪についても、どちらかというと長所,メリットについて多く話したと思います。短所について話すときも、必ずエクスキューズ、、、言うなれば庇いだてしながら申し上げたと思います。
 私の気持ちはそういうところにありますから,インターネット・ビジネスについてもかなり期待しているところです。おそらく将来性は高いと思っています。

 しかし、インターネット・ビジネスの現状は今のところそんなに薔薇色ではありません。
 冒頭に株式のインターネット取引が急増しているとお話いたしました。けれども、これにともなってインターネット株式取引にはトラブルもかなり生じています。
 例えば、月曜午前9時から午前10時までの1時間は株価や注文・約定の照会などのためのアクセスが集中するので画面の表示速度や反応が極端に遅くなります。ここから売買委託手数料の問題や、売却が遅延したことによる損失などをめぐってトラブルが生じます。
 ですから土曜か日曜日に何か材料を仕入れて、月曜日に大もうけしようとしたり損失を最小に抑えたいとお考えの方は、月曜は店を訪ねるか電話にした方が宜しいでしょう。

 このようなトラブルが時々みられるせいか、他の業種でもインターネット取引はまだ大きな力になっていません。今月26日の日本経済新聞によると、アメリカのジーンズ製造大手のリーバイ・ストラウス社はインターネット販売の撤退を決めたと報じられています。
 そして、日本の例を見てみますと、インターネットが爆発した5年前、大手企業はこぞってモールと言うインターネット商店街をサイバーに構築したのですが、多くが撤退していきました。
 この時期、評論家の牧野昇氏は「インターネットは研究者と評論家と趣味の人には有効(牧野・西垣「前掲書」40ページ)。」また、「人間を変えるツール、文化のためのツールとしては最適(同52ページ)であるとしていますが、他方「ビジネスとしてはどうか、、、まだまだである。POSと同列にならない。(同44ページ)としていました。
 ひょっとすると牧野昇氏の見込みは現在も有効かと思わないわけでもありません。
 例えば、インターネット取引を個々にその成功例をみても、まだその規模は大きくありません。今日本では家具の青木(京都)とか「逸品」というサイバー市場があるわけですが、年商も小さいものです。青木は1億円未満。逸品は500万円前後ではないかと思われます。アメリカの場合も商品は家庭での日常品のように小額商品中心となっています。
 牧野昇氏の指摘はまだ正しいかもしれないと言う所以です。おそらくこれからのものであろうと思われます。

 こういう風に良くないことばかり申し上げました。
 しかし、最近はようやく変化を見せつつあります。
 昨年のアメリカにおけるクリスマス商戦のこと、日本における売上げ高の増加などがその例です。

 こうした中にあって、東京証券市場が11月11日に設立した新興企業向け証券市場「マザーズ」への上々申請の準備に入った企業が明らかになりました。
 この中にはネットワーク機器開発のプラネックス・コミュニケーションズ(千代田区)、インターネットでの自動車販売を手がけるオートバイテル・ジャパン(江東区)など、21社中20社がネット関連です。
 中には、「まぐ広告」と言う会社があります。この会社はインターネット上では「まぐまぐ」と言う名前で広告とメールを取り扱っている会社がありますが、おそらくこの会社であろうと思います。インターネットでメールを専門とする会社が上場しようとするなど私にとっても驚嘆の限りのことだと思っています。
 ですからかなりの規模のネット関連会社がその発展を見越して資本調達をしようと考えていることになります。ここにこれからの産業構造の変化が読み取れるのではないかなと言う気がいたしますが、如何でしょうか(?)

 このほか、自動車の中古車部品業者で構成する日本自動車リサイクル部品販売団体協議会(北口賢二会長)は来春を目処に400の会社の情報ネットワークを使った部品取引に乗り出すことを決めたようです。
 また,マンション販売の分野では大京がインターネット利用による実績をあげています。
 同社の今年上期の「インターネット利用によるライオンズマンション購入契約実績」によりますと契約戸数427戸(前年同期比約3.8倍)契約金額は47億7160万円(同3.5倍)で、98年度の契約戸数を半年で上回ったと言います。因みに、アクセス件数は21万1037件(103818件)、資料請求件数6317件(4227件)であるということです。同社ではネット営業スタッフを現在の25人から50人に倍増させるとしています。

 こうしたことはまだ産業構造の変化の兆しになっていないのか、それとも一つの潮流となっているのかは難しい判断となります。しかし、「俄インターネット評論家」と言う責任のない者の視点から考えると、確実に日本はネット産業社会、あるいはサイバー資本主義社会になっているのではないかと思います。

 そして、もしこれが流れになっているのならば、インターネットが中心となる世の中では,今以上に相互依存関係が強まるような気がします。
 今掲げた日本自動車リサイクル部品販売団体協議会が傘下の全国400社でもってネットワーク取引を行う、顧客からの注文に応じて、注文を受けた業者に在庫がなければ他の業者が即時に提供するというのは、正にこの相互依存の例でしょう。
 このように規模を大きく、そしてすばやく情報ネットワークを構築しないと、これからの経営はなかなか苦しい展開となってしまうのではないかと危惧します。



 7 終わりに

 自分がインターネットに幾ばくかの関わりをもつということで、大分生意気なことを申し上げたかもしれません。
 しかし、これからの社会は確実にネットワーク社会になっていくと思います。
 また皆さんの会社の経営も、既にインターネットと関わりを持っているところは更に密接に、これまで何らの関わりのなかったところでも何らかの形で必ずCAD、CALS、POSそしてインターネットと関わりを持つことになるだろうと思います。
 一つ忘れていましたが,携帯電話産業は今後の花形になるでしょうが、これもインターネットに関連します。

 そこで最後に、どうぞこれからはこれまで言われているインターネットの功罪を十分にお考えになり、インターネットにより深い関心をお持ちになるようお願いしてつたない話を終わらせていただきます。
御静聴ありがとうございました。